投稿者 尾崎タカオ | 2013年6月4日

『片眼の猿』道尾秀介

先日、古書店の¥100棚で道尾秀介氏の「片眼の猿」を見つけたので読んでみました。
直木賞受賞も記憶に新しい道尾氏ですが、僕は初めて読ませていただきました。まずタイトルの「片眼の猿」ですが、これは本作中に出てくる寓話のことで、片眼の猿しか存在しない中で唯一両眼のある猿が、その変異さゆえに仲間達から理不尽な扱いを受け、最終的に自ら片眼を潰してしまうというもの。なぜアドバンテージを持ちながらそれを潰してしまうのか、道尾氏はその潰した眼のことを「自尊心」だと書いています。自尊心を潰してまで体裁を保つ、昔から日本人によくあるような話しですね。小説の内容は、道尾氏の言う自尊心を失ったものは不遇な最期を遂げ、自尊心を保つ人々が活躍していくと言う内容です。様々な伏線をはって後半で大どんでん返しがあるのですが、手法はやや強引な印象を持ちました。ただ、さすがに直木賞作家と思わせる部分が随所にあり、文章にも癖がなくとても読みやすいミステリー小説と言う印象でした。

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